憧れのガット弦

オイドクサとゴールドブラカットヴァイオリンを弾きは道具にこだわらない人と、こだわり過ぎる人がいる。こだわらない人は楽器屋さん任せで弦すら自分で交換したことがない、という人もいるようだ。でも大抵そういう人はお金を沢山持っていて、楽器や道具が高価で良い物だから今さらこだわる必要もないのだろう。

私のような貧乏ヴァイオリン弾きは楽器が大抵ショボいので、色々といじくらないと良い音が出ない。ヴァイオリン工房に任せるのは、自分が手に負えない時ぐらい。弦などは評判を調べて極力安く、値段の割には良いと言われるものを探して自分で取り替える。なので良くてもせいぜいナイロン弦。オールハンドメイドのガット弦など手が出せなかった。

ループエンドっぽいガット弦というのは羊などの腸を手でよじりながら細く伸ばして乾燥させたもの。昔ながらの伝統製法なので値段が倍ぐらい違う。じゃあ音はいいのかといわれると、使ったことがないから何とも言えなかった。

昔は安い弦でも最低1セット5~6千円はしていたものだが、最近はナイロン弦のトニカやドミナントがネットショップで3千円台で買える。ヴィオラ弦の予備がなくなったので、年に1回ぐらいしか利用しない弦の通販ショップ I Love Strings. で買おうとしたら、ガット弦の中でも安い方のオイドクサが6千円台で売っていた。30秒ぐらい悩んだが清水の舞台から飛び降りるつもりでポチッた。

色も変わると気分も変わるでも買ってからもしばらくはケースに忍ばせておくだけで使わなかった。どうしても高くてもったいないと思ってしまう貧乏人の性。しかし発表会を間近に控えているのに、このところ公私ともに忙しくて練習に身が入らない。ここはテンションを上げようと、昨日レッスン前に発表会で使う1977年製パロット号に張り替えてみた。

噂に聞くとガット弦は天然素材のせいもあるが、張力が低めで古い楽器に負担をかけないそうだ。パロット号も私が所有してからすでに20年経ったものだし、そろそろオールドの部類に入れてもいいのかもしれない。

さて張り替えた感想。今まで張っていたトニカがすでに1年以上は経ってヘタっているので比較対象にならないのだが、音の伸びが断然良い。特にピチカートは大きく鳴るようになった。手触りは柔らかく、軽い力で弦が押さえられる。ただし音程は前よりシビア。許容範囲が狭い。だが音の強弱はレンジが広くなった気がする。ピアニシモでも音がかすれず、上品に鳴る。私の下手くそボウイングでガリッと弾いてもブワンと響く。きもちーぃ。

E線の方はどこかのブログに載っていたのを参考に、ゴールドブラカットの0.25と一番細いのをチョイス。弦が細い分、張力をかけずに済むからガット弦との相性が良いらしい。というか一番驚いたのは実はこのゴールドブラカット。スチール弦と思えないほど音が芳醇で透き通っている。どうやら隣のオイドクサ3本が共鳴して、開放弦だとなおさら音が豊かに響くのだろう。今回の発表会の曲で、E線を開放弦でロングトーンを鳴らす箇所があるのだが、ここが裏返らずにキレイに鳴るので助かった。

とまあ、概ね満足して弾くのが楽しいのだが、噂に聞いた通り音が狂う狂う。どんどん伸びるのか、ちょっと弾いたら半音下がってしまう。1週間ほどは落ち着かないそうだから、ちょうど発表会の時にベストの状態になるんじゃないかと期待していたり。というかこんなブログ書いていないで練習しなくちゃ・・・

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