譜面は音楽の言語

こないだ会ってきたイトコのベーシストとの話。音楽講師としても活躍している人なので、色々と参考になることを聞いてきた。

ミュージシャンはCDの売り上げ不振と養うはずのレコード会社が軒並みダメになっているせいで全く食えない状況。芸大卒でも食えない人がゴロゴロしている現状なので、たとえアマチュアオーケストラであってもオーディションがあって難関で入れなかったりするのが日本の音楽事情らしい。

しかし音楽スクールは盛況とのこと。イトコが言うには昔はベースなんてものはバンドでジャンケンで負けた奴がなるものと決まっていたのが、今は割と人気があるらしい。特に女性の受講者が増えているみたい。で、みんなテクニックや素質はともかく大体譜面はスラスラと読めるらしい。子供の頃のお稽古でピアノをやっていた女の子が多いので、その点については教えやすいみたい。

でも譜面は読めても音楽として成り立たせることができない人の方が多いみたい。こないだのボーカルジャムのとき、イトコはお客さんが歌い終わった後に譜面を見せながら「ここはナチュラルの方がいいよね。恐らく作曲家が意図して書いたのはそっちのはずなのに、間違って印刷されているみたいだから」とアドバイスしていたのだが、歌った本人はキョトンとしていた。音楽として正しいかどうかよりも印刷された譜面に忠実に演奏することの方に注力してしまうため、結局はそれが乗り越えられない壁になるらしい。多分、これがプロとアマの差なのかもしれない。

一方、私はというと譜面が未だちゃんと読めない。譜面に指番号書いて「これはA線の1の指」と確認しないとロクに弾けない。というか私はすぐにズルをする。譜面に頼らず音の記憶でやってしまうから。メロディを覚えてしまえば指が勝手に動くからすぐ暗譜してしまう。伴奏でわからなくなったら周囲の音を聞きながら適当に合わせてしまう。

そのことをイトコに話したら「その方が音楽としては正しいんだけどね」とのこと。同様のことはヴァイオリンの先生からも言われていて「周囲の音を聞けるってのはスゴイのよ。大体みんな音がズレようが譜面だけ見てそのまま一人で突っ走っちゃうから」とのこと。こないだボーカルジャムでぶっつけ本番に歌ってしまった私だが、一応バンドのメンバーにアイコンタクトしながら歌っていたら、みんなニヤリとしながら面白いフレーズをぶつけてきたので、自意識過剰だが歌った人の中では一番盛り上がっていた気がする。終わった後、お世辞は言わないイトコ2人に「良かったジャン」と言われたので、一応ミュージシャンとしての素質は持っているのかも知れない。いや、今さらなれないけど。

まあそんなわけで3人以上のプロに「素質はある」と誉められた私だが「でもやっぱり譜面は読めた方がいいよね」とイトコに言われた。「譜面は音楽の言葉だからね。読めないと作曲家の言葉がわからない」、「アメリカ住むのに英語しゃべれなくても何とかなるけど、しゃべれた方が便利だからね」と、グリーンカードも持っているイトコの言葉は説得力がある。

「まあ慣れだよ、慣れ」とも言われたが、その言葉は十数年前から色んな人から聞いていて未だちゃんと読めない。とことん私はダメなのかもしれない。いい加減ちゃんと本腰入れて覚えなきゃならんなぁと思いつつ、未だ音と記号が結びつけられない。多分、感覚の右脳と論理の左脳の連絡がダメなんだろう。頭じゃわかってるのに体も動かないし。エジソンの言った「1%の才能と99%の努力」は「才能がなければ努力も無駄」って意味だったらしいけど、才能があるないに関わらず、私に努力が足りないのは明らかだな。がんばろ。

画像は五度圏(Circle of Fifth)。
http://linkwaregraphics.com/music/circle-of-fifths/