もっと光を

「輪番停電」などという聞き慣れない言葉を聞いたかと思ったらいきなり始まってしまい、この辺でもすでに何回か実施されている。なかなか不便だが、被災地の苦労を考えれば致し方ない。

しかし「計画停電」の別名に反し無計画で始まりと終わりの時間がハッキリしない。大体私は元から生活パターンが崩れていて「食べたいときに食べる、寝たいときに寝る」という無計画人間。無計画×2ですっかり生活のリズムが狂ってしまった。

これはイカンと思い、電気が消えている間は停電の影響を受けない完全アナログ楽器、ヴァイオリンを練習する計画を立ててみた。この日は15時20分~19時00分頃の予定となっていたのだが、15時40分に開始。始めは部屋も明るかったので余裕。コーヒー淹れてちまちま休憩しつつ、キコキコと弾いていた。

段々暗くなってきたのでロウソクやLEDの電池式ライトを点けて譜面をにらみつける。モーツァルトとかの時代はこうやってアイネ・クライネ・ナハトムジークとか弾いていたのかしらんと思いながらさらにキコキコ。だが最近老眼が始まってきたので薄暗いとつらい。体力がどんどん消耗する。5分弾いちゃ10分休憩、3分弾いちゃ15分休憩とだんだん休憩の比率が多くなる。しかしコーヒーはすでに5杯飲んだ。スマイル40EXの差しすぎで目もショボショボする。暗くて何もできないから間が持たない。楽器の練習とは孤独との闘い、8割方が苦痛だというのに。暗闇の中で気が狂いそうになる。ムキーッ!

結局その日は19時40分頃になってようやく電気が点った。もうすでにヘトヘトで何もする気が起きなかった。とりあえずネットでも見て気を紛らわそうかと思ったら、光回線のホームゲートウェイがエラーを出している。機械の再起動を何度も試みたり、数時間放置してもネットに全くつながらない。携帯でISPのサポセンに電話をかけたが10分待ってもつながらない。きいいいいっ!

ゲーテは臨終の際にこう叫んだという。「もっと光を!」

はあ…もう、心が折れそう…