皮むき

CB400SF購入からようやく400キロ程度走行。タイヤの皮むきもだいたい終了。

「皮むき」とはバイク乗りの用語でタイヤの表面均しのこと。新品タイヤは製造過程の油というか保護用の油膜が表面についているので滑りやすい。だからある程度走行して表面が削れてこないとタイヤ本来の性能が引き出せない。特に端の部分はバイクを思い切り傾けないと接地しないので、タイヤを新しくしたら街乗りなどの低速走行で積極的に倒しこむ必要がある。そうしないと高速コーナーや危険回避の際、バイクを傾けた途端にグリップ力を失って転倒、なんてことになってしまう。最近のバイク乗りは見てくればかり飾って、チェーンに油もくれないでガチャガチャ錆びさせてるバカが多いのでそんなことも知らないだろうけど。

初心者やバイクを傾けられないヘタレが乗るとタイヤの真ん中ばかり減って端っこが新品のままだったりする。以前にも書いたヘタレラインがくっきりと残るので、タイヤの表面を観察すればその技量がすぐにバレる。前のオーナーはタイヤを替えたあとほとんどバイクを傾けることがなかったみたい。両端がそれぞれ3センチほど新品タイヤ独特のツヤとバリ(タイヤ製造時にできるヒモ状のイボ)が残ったままだった。直線番長だったのかしらん。

私も最初はおっかなびっくりだったのだが、最近になって回転数とギヤの選択に悩まないようになってエンジンを遠慮せずに回せるようになった。タイヤが太くて逃げないので倒しこんでも不安がない。不安があるとしたら後ろに白いバイクがいないかどうかぐらいか。

今日帰宅してタイヤを確認したら端っこ5ミリしかツヤが残っていなかった。とりあえず、前のオーナーに腕で勝ててちょっとうれしい。

ヴィオラの調整

実は先日アントニオさんにヴィオラの調整をお願いしていた。このところ出費がかさんでキツいのだが、最近になって楽器の限界を感じていたし何より7月末にある発表会前に本調子にしておかないとならないので。

久々雨が上がったのでまだ慣れないCB400SFで千葉県流山市に。アントニオさんは以前新松戸にあったのだが、昨年10月に流山へ移転してから一度も訪れていなかった。本来弦楽器は季節の変わり目ごとに専門家にメンテナンスしてもらうのがベストなのだが、プロの演奏家でもないし年中無休で貧乏なのでそうもできない。なのですでに20年近い付き合いではあるが滅多に来ないし、来たら来たで毎回安物の楽器を持って来る嫌な客なのだ私は。

とはいえそこのご主人は気さくに対応してくれるし、得体の知れない楽器を持ってきても「こういうのを化けさせるのが面白い」と言ってくれるので遠くても毎回ここに出している。いずれは出世して世話になった恩返しにアントニオさんで一番高い楽器をポンと現金で買いたいが、恐らく慢性貧乏症候群をこじらせている私には一生無理な話か。

背中にケースを抱えて片道1時間半かけてCBでおおたかの森へ。まだ駅前が整備されたばかりなので地図に載っていないところが多くてちょっと迷う。新築の家ばかり建ち並ぶ区画でどれも似たり寄ったりだったのだが、3階建ての建物を目指したら何とかたどり着いた。

あらかじめ電話で予約はしていたので挨拶もそこそこに楽器を見てもらう。諏訪楽器で1万4千円だったことは伏せたけれども、プロが見ればバレバレの安っぽさ。無理だと言われたらさっさと引き上げようと思っていたが「うん、大きさも十分にあるしこれなら大丈夫ですよ」とのこと。魂柱は短いようで交換が必要だが駒は削ればそのまま使えるらしい。弦も「ヘリコアでまだ新しいからこのままいけるね」と言われ格安でやってくれることになった。でも作業内容と金額を詳しく列記してしまうとアントニオさんの商売に影響しそうなのでここには書けないかも。翌日には出来るそうで、「びっくりするぐらい変わりますよ、楽しみにしておいてください、フフフ・・・と職人魂に火をつけてしまったようだ。

はやる気持ちをスロットルにかけ、昨日CBでバビュンと取りに行ってきた。途中とてもここに書けない数値がメーターに出ていたが、ようやくこのバイクのクセがわかってきてこれまた楽しい。タイヤも端っこまで使ったし。

今度は迷わず到着。店内に入ってご主人が開口一番「変わりましたよ」と満面の笑顔。駒を見ると厚みが削げてすっかりスリムに。早速その場で試奏してみたがなんだこれは・・・! ド下手糞な私が弾いてもとても上品な音が出る。というか軽い。重量は変わっていないはずなのに、支えるのがラクになっている。何より軽い力ですばやく楽器が反応する。全く別物の楽器に化けてしまった。ご主人も「こんな化けるとは自分でも思っていなかったですよ」と言っていたが、どういう魔法を使ったらこうなるのか。ご主人が弾いたらまるで室内楽のアンサンブルを聴くかのような響きと余韻。つうかこの楽器のポテンシャルをてんで引き出せない私が恥ずかしい。

また、新しい店内は天井が高めで音の反響が素晴らしい。「音を良くするように作ったつもりではないんだけれど、ここで弾くのを楽しみにしているお客さんも多いんですよね」とのこと。どうやら店内のイタリアンの楽器が一緒に共鳴してなんとも言えない深みを味付けしているとのこと。ここで室内楽とか演ったらすごいだろうなぁ。

会話もそこそこに楽器を抱えて帰宅。早速ケースから取り出して弾き始めたらスピカート(すばやく弓を動かして音を切る、と言ってもドレミファソラシドの音階だけど)がとんでもなくラク。重音(2弦以上を同時に弾く)も共鳴音と余韻がすごい。取り憑かれたようにそのまま30分以上連続で弾いていたが、全く首肩が痛くなくなった。楽器の調整だけでこんなに変わるものなのか。

ああ、こんな早く、安く、上手く行くんならさっさと調整に出せばよかった。何はともあれアントニオさんに感謝! 最後にアントニオさんの名言。

「楽器として生まれたのなら、最高の状態にしてあげたいよね」

すべる

最近、ダイエットをしていたらヴィオラの演奏に不具合が出始めてしまった。ヴィオラがちゃんと抱えられないのだ。

少しやせたぐらいでどうにかなるものかと思う人もいるだろう。だが私はなぜか顔からやせる人。アゴの肉が落ちたら途端に楽器が支えられなくなってしまったようだ。最近妙に首と肩が突っ張ると思ったら、どうやら無意識にヴィオラを首の力でギュウギュウと押さえつけていたみたい。しかしこれはイカン。

どのような楽器でもそうだが演奏中は力を1点に集中させず、極力全身に分散させてつり合った状態にするのがベストな状態。楽器を支えるのに神経が集中してしまうと音がマトモに出ない。それどころか体を壊してしまうことだってある。私は先生に言われて肩当てを使うのをやめたのだが、最初はヴァイオリンが滑り落ちそうになるので無駄に力が入り大変だった。だが慣れてしまうと以前はなんであんなに苦労したのかわからないほど力を入れずに済んでいる。うまい具合に力が抜けるようになったのだろう。

しかしヴィオラは厚みと重量がある。ヴァイオリンで慣れたフォームで弾こうとしてもイマイチ上手くいかない。アゴの皮膚がたるんでその重みを支え切れない。なので楽器をネックで支えようとして自然と左手親指に力が入る。親指に力が入るとビブラートもかけられないし何より演奏に集中できない。また塗ってあるのが安物のウレタンニスのせいもあるのかスルスル滑る。とにかく滑る。両面テープで固定したくなるぐらい。

ヴァイオリンの先生によると服の素材によっても演奏のし易さが変わるらしい。実際、フリースなどの化繊類を着て演奏するとどうにもならないほどダメだ。布を当てて滑り止めにするという方法もあるらしいが、果たしてどうしようかとネットで調べたりして思案中・・・→続報「ヴィオラの滑りを止めてみる」

と、悩んでいる間にヴィオラが昨日から欠席中。理由はまた後日。