ストローバイオリンの修復

先日購入したストローバイオリンだが、音がデカくミュートも付けられないので夜間は全く弾けない。そうなると弾くよりいじる方が多くなる訳だが、案の定やってしまった。ラッパを固定しているネジを締め直したら、共鳴板ユニットのネジ穴をナメてしまった。

というか金属加工を少しでもかじったことのある人なら、M3(径 3mm)の鉄ネジをアルミに直接タップを立てて固定しようなんて思わないだろう。柔らかくせん断しやすいアルミ母材だけに、0.5mm ピッチの山がキレイに切れるのかすら怪しい。

まあナメるのは想定内。当初から考えていたエンザートを試すことにした。エンザートとは、アルミやプラスチックなどの柔らかい母材に雌ねじを立てる際、その補強に使われる筒状の埋め込みナットのこと。外周にもネジが切ってあり、先にねじ切り用の切り込みが入って刃になっている。ここでタップを切りながら母材に食い込ませるように挿入して、丈夫な雌ねじが固定される仕組みだ。

エンザートに似ているものでヘリサートコイルというものもあるが、こちらはタップで母材にネジを切ってから挿入しないとならない。エンザートはその点、ドリルで穴さえ開ければあとはグイグイ締め付けるだけなので手軽だ。早速近所のホームセンターで入手。

本来ならボール盤などを使って垂直に穴を開けなければならないのだが、一般家庭にそのような物はない。仕方なく太ももでバイオリンを押さえながら、どこの家庭にもある4.5mmのドリル刃で無理やり穴を広げた。

エンザートは問題なく挿入できたが、金属用ドリル刃がなくて木工用で開けたせいもあって、やはり穴がズレてラッパが取り付けられなくなった。これもまあ想定内。穴がズレたら取り付けるラッパ側の穴を拡げればいいじゃない。ラッパはフランジを介して取り付けられているので、フランジの穴をグリグリとドリルで拡げた。

だいぶ削ってM5が入るぐらいガバガバになったが、まあ何とかハマった。これでラッパをガッチリ固定できるようになった。心なしかビリビリと鳴る共振音も減ったような気がする。ついでに最初からバカになりかけてグラグラしていたモニター用の小さなラッパの固定もエンザートでやり直した。

しかし直す前からなのだが、こちらのラッパからは音が鳴っていないようだ。もしかするとこっちの配管、穴が貫通していないんじゃないだろうか? それを確認するのにまたこちらの配管の脱着をしないとならないが、またナメそう。おそらくこちらもエンザートを入れることになりそうだ…

サイトアイコン

この奇妙な楽器の構造を完全に理解しているわけではないが、こういう推理と試行錯誤の必要な工作は嫌いじゃない。しばらくは退屈しなさそうだ。ていうかそんなことよりバイオリン練習しろー。

created by Rinker
ライト精機(Right Seiki)
¥848 (2024/03/19 10:13:41時点 Amazon調べ-詳細)