さっきまで何かミョーに頭が痛かったのだけれど、さっきちょっと寝たらだいぶ良くなったので、起きてゴソゴソ。
 なんか日記を作ったら物凄い勢いで更新しまくっている。というか色んなパターンで動作検証しないと、と思うと夜も眠れなかったり。別に不具合が出てから直せばいいんだけれど、どうもこの辺がビンボー症。

 まあそんなことより日記を作って一番やりたかったことは好きな音楽のレビューをやりたかったわけで。「批評」なんておこがましいことはあんまりしないで、純粋に「音を楽しむ」レビューにしようと思うつもり。何せ音楽は聴いてみなければわからないけれど、聴ける機会は少ないし。検索してちょっとピンとでも感じてもらったら私としては嬉しいのデス。

 では記念すべき第1回は「夜の海で泣きたい音楽」の私的ベストに輝くハービー・ハンコック/処女航海(Herbie Hancock/Maiden Voyage)。10年ぐらい前に独り暮らししてたときには、カセットに録音したのを持ち出して、海辺にバイクを止めて一瞬マジになって泣いた、そんな青臭い思い出の1枚。

 このハービー・ハンコックという人はジャズピアニストでも器用な部類に入る人で、ロックでもクラシックでも、何でも弾けるので、逆に一部のジャズ愛好家には認められつつも嫌われたりしているが、私は好きだ。で、このアルバムはスイング・ジャーナルという雑誌でゴールドディスクに選定されている定番中の定番。今さら私が取り上げてどうこう言わなくても検索すればイロイロと評価が出てくるかと思うが、誰も書かないような視点で書くよう挑戦してみる。まあ何かしらカブるとは思うけど…

 このアルバムはクラシックの組曲のように海をテーマにして構成されている。ジャズは即興で演奏する音楽なので、最低限のルールだけ決めてあとはミュージシャンの好き勝手にやってしまうのが「普通」だったりするが、これは恐らくかなりハンコックがスコアを書いて他のプレイヤーを制限しているようで、その点はクラシック的であるかもしれない。ある意味ジャズというのはギリギリの危なっかしさを愉しむフシもあるので、そういう点でこのアルバムは、ジャズ初心者でも安心して聴けると思う。

 だがこのアルバムは、この時代(1965年録音)にマイルス・デイビス率いるミュージシャン達(もちろんその中にハンコックもいる)によって作られたモード奏法(さまざまな音階を軸にした音楽構成)で演奏されている。従来のコード奏法(和音を軸にした音楽構成)から脱却しているため、未だ多くのポップスやロックがコードに縛られているのを考えても古臭さはない。まあモード奏法が普及しなかったのは理論と演奏が難しかったからで、その分ミュージシャンにとってもハードルの高いものと言えるから、統率が必要だったのかもしれない。

 と、ここまでは恐らくどこかでも書かれている内容かもしれないので個人的な感想を。とにかく「泣き」である。表題曲「処女航海(Maiden Voyage)」の中でトランペットのフレディ・ハバードが16小節一気に吹き切るところがあるんだけれど、このフレーズが泣ける。たまに自分で口笛を吹いてみるが息が続かないから涙目になるし。多分、鼻から吸いながら口で同時に吹くという「循環ブレス」の使い手か、恐ろしい肺活量の持ち主なのだろう。というかそんな技術面はともかく、琴線に触れるこのフレーズは私のベストの一つだ。
 そしてその後、波が砕け散るようなハンコックのピアノ。出港の緊張感から凪の外洋に移り行く様が目に浮かぶようでもある。
 次の曲では緊張感みなぎるホーンのユニゾンから始まるアップテンポの「ハリケーンの目(The Eye of The Hurricane)」。トニー・ウィリアムスのドラムスは船体に叩き付ける波しぶき。緩急激しい曲調から、乗組員の緊張感が伝わってくるようだ。

 音から映像のイメージを膨らませることができるアルバムは、そうざらにない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)