ヴィオラの弦張替え&調整

ヴィオラはヴァイオリンよりペグ(糸巻き)の回し具合がシビアなので調弦がめどい。なのに最近ヴィオラをケースから出す度、音程が狂っていた。試しに弦をアルコールティッシュで拭いて脂や松脂を落としたら、弓の当たるところがザラザラになっていた。サビや弦のホツレはないがもう寿命かもしれない。

と、思ってこのブログ内を検索したら前回の張替えは1年前だった。そりゃヘタりもするわ。通販で買えば安いけれど、演奏会も近いしここは調整も含めていつものアントニオさんに任せよう。
  
夜勤明けにひと寝入りしてから夕方にCB400SFで出発。流山に着いた頃にはすっかり暗くなっていた。バイクで1時間半も走ると芯まで冷える。

あらかじめ電話でヴィオラ弦の在庫はドミナント(Dominant/オーストリアのトマスティーク社製)とヘリコア(Helicore/アメリカのダダリオ社製)があることを聞いていた。貧乏人なので迷わずヘリコアでと思っていたら、店主が楽器を見て「あー元からヘリコアだったんですね」と、こちらから言わなくても引き続き同じ弦を張ってくれることに。プロだから当然なのだろうが、弦の模様(両端に補強用の糸が巻いてある)で銘柄がわかるのってすごい。

張り替えてもらったあとに魂柱(胴の中に入っているつっかえ棒)の位置を微調整してもらったのだが、f字孔に特殊工具を突っ込んでクイッと数ミリ動かしてもらうだけで音がかなり変わる。大雑把に分けると音量重視か音色重視になるらしい。「最近、新しい調整の仕方に変えたので、劇的によく鳴りますよ」と店主。すでに店を構えて何十年のベテランでも常に新しいことにチャレンジして向上心を失わない姿勢がすごい。だから遠くてもここにお任せしている。

私としてはクリアで大きな音量の方が練習用にはいいかなと思ったけれど、アンサンブルで弾くことも考えて倍音の多い、調和の取れたセッティングにして頂いた。弦も新品になったおかげか反応が早く音も裏返らない。この楽器の調整は2度目だけれど、アントニオさんのおかげでどんどん成長していい音になっていく。問題は持ち主が一向に成長しないことだけだが。

「冬は音がシャーと裏返りやすくなるので半年に一度は調整に持っていただければ常にいい音で維持できますよ」と店主。魂柱も表板と裏板に接着せずに弦の張力で押さえているだけなので、半年弾き込むと振動で芯から逃げて行くらしい。でもいつも楽器が悪くなってからじゃないと持ってこない私。どれもこれも貧乏が悪いんや。

張り替えたヘリコアにはボーナスパックでA線がひとつついていたのでオマケで頂いた。Kaplanという弦らしい。弦が切れたら張替え時というのがアマチュアの交換ペースだが、ヘリコアみたいなスチール弦は切れるのを待っていたら人間の方がヘタる。今度はちゃんと半年後ぐらいに張り替えよう。

調整が終わった後にヴィヴァルディを弾くことになったことを話し、ヴィオラも弾ける店主から色々ヒントももらった。最初に来店したのはもう20年近く前になるけれど、演奏上のアドバイスなども頂いたりできる専門家と知り合いになれた私は運がいい。さあ、クリスマスの演奏会に向けて楽器は完璧。あとは自分の腕次第・・・

冬将軍

以前にも書いたが私は12月生まれのせいか冬が好きだ。「寒ぃー、うわっ寒ぃー」とか言いながらニヤニヤしてTシャツで歩き回るような奴である。

特に朝のピンと張り詰めた空気が好きだ。夜中のうちに空気中のホコリが凍って地面に落ち、空気が浄化されて透き通っているみたいだ。音で表現するとキーンとかカーンという甲高い感じ。朝の冷気に当てられると身が引き締まり元気になれる気がする。いや、人並みに布団から出るのは辛いけれど。

いたち野郎

こないだのクリスマス演奏の練習会、練習不足でグダグダだったのにさらに曲を増やされてしまった。ヴィヴァルディの四季「春」の第二楽章。ヴィオラの譜面を見るとラルゴのゆったりとしたペースで単純に1小節ごとに2個「タッター」と音を鳴らすだけ。

その日私はヴィヴァルディはやらないものと思ってみんなが練習中、のん気にEVOでWikipediaを見ていた。そこにはこう書いてある。

・・・ヴィオラの低いCis音が吠える犬を表現している。

・・・えーと、ちょっと待て。これって結構重要なパートじゃない? と思っていたら案の定先生に「ヴィオラがあった方がいいから」という理由でほぼ強制加入が決定。まあ単純だからこれぐらいなら何とかなりそうだけど。

で、帰宅してから譜面を再び読み返してみたのだが、何やら si deve suonare sempre molto forte e strappato などと冒頭に書いてある。演奏上の注釈らしいがイタリア語のハンドルを使っているクセして私はイタリア語で数字を数えることすらできない。そんなときはGoogle翻訳が強い味方。訳させてみたら「あなたは常に非常に強力な再生とリッピングする必要が」などと出た。なんだこりゃ。さっぱり意味不明。

こんなときは文法が近い欧米の言語に直せばいいと思い、気を取り直して英訳させたら「you must always play very strong and ripped」と出た。つまり「常に超強く、引き裂け」ってことか。Youtubeでイ・ムジチを聞いた感じでは山の向こうからもわわーんって感じに静かに弾くものだと思っていたが、強くギッギャーンと弾けというのか。まるでイメージが違う。

それに弾くタイミングがワンテンポずれているので計りづらい。なかなか苦戦しそうだ。他の課題曲もまるで弾けなくて時間もないのに。うひー。

などと軽く絶望感を味わいつつ、ripped という単語を見ていたらフランク・ザッパのアルバムいたち野郎(原題:Weasels Ripped My Flesh)のことを思い出した。数年放置してあるCDの棚が楽器ケースの裏に隠れてしまってそれは見つけられなかったが、手を伸ばしたら Francesco Zappa が出てきた。たしかザッパが自分の名前そっくりの中世の音楽家フランチェスコ・ザッパの曲を発掘し、シーケンサーでそのまんま演奏したアルバムだったような。凡庸なバロックがチープなシンセ音でひねりもなく演奏されてて1回しか回していない覚えが・・・

いや、ザッパとか聞き返しているヒマなんかないんだってば。やばいよやばいよ。

※12/14 追記
先生と相談したら演奏会では上記の「強く引き裂く」ではやはり強すぎるので普通にmfでということに。他の人がミュートつけて弾くしね・・・

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天体ショー

夜勤明けにちょっと寝たらすっかり寝坊してしまったヴァイオリンの練習会。練習不足でグダグダになって反省しながら楽器をケースにしまっていたら、今年高校生になった私より大先輩の男子生徒(ムチャクチャ上手い)に「今日、皆既月食ですよ」と教えてもらった。夕飯のあとに一眠りして、そういえばと思い出し慌てて外に飛び出した。

  
妹や姪にも「月食なう」とメール送って一緒に見ていた。姪はケータイカメラで上手く撮影できずにイライラ。こっちもEVOで撮ってはみたけれどやはり絞り開放機能のついた望遠レンズつきカメラじゃないと厳しい。思ったより変化が緩慢なのですっかり冷えてしまった。
  
私は子供の頃に日食を見たことがある。晴れた日なのに突然曇り空になったように暗くなったので、外に飛び出したら太陽が欠け始めていた。どんどん夕方とは違う妙な薄暗さになり、太陽が不気味な形になって恐ろしかった。あの光景は今でも忘れられない。今度はいつ見られるかなぁ(でも調べない)。