以前レンズ沼に片足を突っ込んだ私だが、昔アナログレコードにハマッてオーディオ沼にも片足を突っ込んだことがあった。エレキットの真空管プリアンプを組み立て、中古のターンテーブルや真空管メインアンプ、ゴミ捨て場で拾ったスピーカー等をつなげ、ジャズレコード300枚、洋楽ロック CD 200枚をとっかえひっかえ聴くだけのショボいシステムだったが。

最近はオーディオにこだわらず、作業用 BGM として PC のイヤホンジャックに AKG K240 Studio を直接つないでフリーの音楽プレイヤー foobar2000 でアニメ/ゲーム音楽を聴いているぐらい。
あとは HDMI →モニター経由でダイソーの300円スピーカーを鳴らしたりとか。全然ハイファイじゃない。
で、PC を新調(でも中古)して同様に音楽を愉しんでいたのだが、Amazon のブラックフライデーセールでこんなものを見つけた。Yinyoo CCZ CM01 というケーブルタイプのコンパクトな USB DAC。

DAC というのは Digital to Analog Convertor の略でデジタル – アナログ(D/A)変換機のこと。オーディオファイルのデータを音楽プレイヤーで再生(出力)したデジタル電気信号を、スピーカーやヘッドフォンで再生できるアナログ電気信号に変換するもの。PC でもマザーボード上で同様のことを行っているので本来は必要ない。だがこれを USB 経由で外に出すことで、マザボからのノイズを拾いにくくなるらしい。またマザボの D/A 変換回路は安物のため、そこそこ良い DAC をかましてやると音質も変わるとのこと。

私の使っている HP の Z4 G4 Workstation には Realtec のサウンドチップがマザボに載っている。サンプリングレートは最大 192000Hz。

これでも十分高音質だと思うが、今回購入した DAC のサンプリングレートは最大 384000Hz と倍。1+1で200だ!(小島聡) ちなみにサンプリングレートとはデータを1秒間に何回記録するかという数値で、大きければ大きいほど波形が滑らかになって原音に忠実になる。
とはいえ元のデータが CD ならば 44100Hz、ハイレゾ音源でも高くてせいぜい 192000Hz。倍倍にアップサンプリングされたからと言ってマスター音源が甦るわけではない。でも高級な DAC だとデジタル化の際に中抜きされたデータをリアルタイムに計算して補完するらしく、疑似的に滑らかな波形を再現したアナログ信号に変換することで音質が良くなるらしい。

DAC のインストール自体はカンタン。USB ポートにサクッと挿すだけでドライバーも要らず、勝手に「CM01」として認識される。

さらに 384000Hz にアップサンプリングするため、まず foobar2000 にアップサンプリング用コンポーネント「Secret Rabbit Code resampler」をダウンロードしてインストール。foobar2000 を再起動後、[ Library ] > [ Configure ] > [ Playback ] > [ DSP Manager ] を開き、右側の「Resamler (SRC)」を+で追加。左の Active DSPs に追加された「Resamler (SRC)」をWクリックし、384000Hz を選択してOK、OK。

私はさらに foobar のコンポーネントに WASAPI output support をインストールし、Output を WASAPI 経由にしているのだが、細かく説明するのは面倒なので割愛。これでオンボードのサウンドチップに依存しないハイレゾな環境が構築できた。

ちなみに DAC なしで foobar2000 で 384000Hz までアップサンプリングすると、リアルタイム補完が追い付かないのか音がブルブツ途切れる。私の PC のオンボードチップでは 192000Hz が限界の模様。
準備ができたのでワクワクしながらヘッドフォンをつなげて音楽を聴いてみたところ、ゾワッと鳥肌が立った。今まで気づかなかったノイズが一掃され、清浄な空気に変わったかのように音がクリアに。PC 標準の 44100Hz では音が混じりあってグチャッと鳴っていたのが、384000Hz では各々の楽器やボーカルがしっかり分離して音場が豊かに。

シンバルは金属音がしっかり響き、ボーカルは息遣いが聞こえ、シンセなどの電子音はダイレクトに鳴っているかのよう。低音が得意ではない K240 なのでベースやバスドラは相変わらず鳴らないが、音の粒立ちがハッキリと感じ取れるようになった。もうちょいヘッドフォンを良いものに変えればさらに音は激変するだろう。というか K240 はスタジオモニター用で音楽鑑賞用じゃないしね。
数千円のこんな小っちゃな機械をかますだけで音が良くなって大満足。最近の中華オーディオは質が良くなったと聞いてはいたが、まさかここまでとは。あとは耐久性かな? まあ壊れても数千円ならまた買えばいいか。
なおヘッドフォンは使用している間に変なクセがつく(ドライバーユニットが帯磁することにより鳴る音の周波数帯が偏る)し、逆に使っていないと鳴らなくなるので、音質が悪くなったら全音域をまんべんなく鳴らしてリセットしてやるといい。Frequency Sweep Sound と呼ばれる人間の可聴域音 20-20000Hz(低-高音)を連続で小一時間流したり、以下の動画などおススメ。
そんなこんなで安物 DAC でも十分満足する結果が得られたのだが、Amazon を覗いていたら以下の DAC がチョー気になってしまった。
デジタルデータのクリア過ぎる音が、真空管で滑らかに歪むことで聴き疲れしない音に変わるんだよなぁ…真空管シブくてカッコいいなぁ…欲しいなぁ…でも買ったら沼にハマって抜け出せなくなりそうなんだよなぁ…




