mezzo は後先考えず無鉄砲に何かやらかす人間だと思われているが、実際は石橋をコツコツと点検ハンマーで念入りに叩いて渡る小心者。なので APtrikes は衝動買いしたのではなく、事前に数か月も前からリサーチしていた。
今回は私が知っていた/調べた情報をここに記してみる。APtrikes を買って後悔しないよう、参考にしてもらえれば幸いだ。
メーカーは中国ヤマサキ

APtrikes125 は元々アライブプラスという大阪の業者が中国から仕入れ、日本の公道で走れるようにして売っていたが、今は相模原のカーターがその事業を継承して輸入・販売している。
日本の会社が扱っているとはいえ、設計・製造・販売はほぼ100%、中国が行っている。メーカー名は「ヤマサキ」。春のパンまつりで白い小皿がもらえるヤマザキではない。

正式名称は常州山崎摩托车有限公司(英名:Changzhou Yamasaki Motorcycle Co., Ltd.)。中華人民共和国江蘇省常州市にあるバイクメーカーだ。

1999年創業で ISO9001 も取得して世界各地に輸出しているらしいが、中国バイクメーカーのトップ10には入らない。ちなみに中国トップは大長江集団(豪爵 Haojue)。スズキと合弁している会社で、世界に販売網を持つダントツ1位のバイクメーカー。知らんけれど。
というかヤマサキってあからさまにヤマハとカワサキを足して2で割ったようなネーミング。恐らく経営者にヤマサキさんはいない。欧米などに輸出する際、日本製っぽく聞こえるように名付けたのだろう。


なお APtrikes125 の本国での名称は「山崎牌 SAQ50QZC-3 三轮摩托车」で、意味は「ヤマサキ SAQ50QZC-3 三輪バイク」。ホームページでは「机动轮椅车」と表記してあるが、意味は「電動車いす」。中国では小型三輪車を車いす扱いにして、免許なしで乗れる脱法自動車として売られていることがあるらしい。さすが中国。

本国では20万円程度で買えるようだが、これを直接日本に持ち込んでもそのまま公道は走れないだろう。輸送費だけでなく税関や検査、国土交通省の定める書面の作成と提出、形式認定や検査とかが別途必要になると思うので、めちゃくちゃ高くつく可能性が高い。
おそらく総輸入元の日本の会社でも、メーカーにいろいろ注文つけて日本仕様にしている可能性が高い。またトラブルのないよう販売前に点検整備も行っているだろう※。中国製品って間に日本の会社を挟まないとだいたいロクでもないので、並行輸入したら痛い目に遭いそう。素直に正規販売店で APtrikes125 を買った方が安上がりだろうし安心だ。
※中国製に限らず BMW やメルセデスなどでも、輸入後に点検するとどこか不具合があるらしく、ディーラーでは必ず整備し直してから売っていると聞いたことがある。
品質は中の下
中国は文化大革命で過去の偉人たちが書いた本を燃やし、日本が道徳の手本にしてきた孔子等が残した倫理観を捨てている。また社会主義という国は真面目に働いてもサボっても給料が一緒。ならばサボった方が得なので、国民の多くはすぐに手を抜く癖がついてしまった。

というか世界的に見たら日本の方がおかしい。隠れて見えないところや見た目がさして変わらないくても丁寧に仕事をしたがる。誤差±0.05mmと指定されたら、±0.02mm以下に仕上げたがる。コードやケーブルは色や幅、長さも揃えて配線する。プログラミングではきっちりインデントやコメントを規則正しく入れる。休み時間や食事時間を削ったり、徹夜してでも納期を守る。そしてその手間を価格に含めない。

それらを当たり前のように思っているから外国製品の雑な仕事に文句を言いたくなる。だが「走って曲がって止まればOK!」なのが世界標準なのだ。昔乗っていたシトロエン 2CV も、1/1スケールのブリキのおもちゃだったし、あの高価なフェラーリの新車ですらよく燃えているぐらいだし。
日本車の常識で考えると APtrikes の品質は下の下だろうが、ちゃんと走って曲がって止まるから、世界的に見れば中の下ぐらいの及第点だろう。日本人の常識を当てはめてはいけない。
三輪自動車の歴史と現在
そもそも三輪自動車なんて今の日本じゃあまり見かけないが、歴史はめっちゃ古い。メルセデス・ベンツの創始者、カール・ベンツが作った世界初のガソリンエンジン自動車も三輪車だった。

でもその前にゴットリープ・ダイムラー(これまたメルセデス・ベンツの前身、ダイムラー・ベンツの創始者)がガソリンエンジンのバイクを発明して特許を取っていたらしい。というか補助輪付きなので厳密には四輪車かも。

なんやかんやあって(はしょり過ぎ)自動車は四輪に落ち着くが、機動性の高い二輪自動車(バイク)も同時に発展。三輪車はバイクの派生版というか、荷物運搬用サイドカーやリヤカーを引っ張っていたのを一体型にしたような形態に。

そのうち雨風しのげるように屋根が付いたりドアが付いたりしてオート三輪と呼ばれるようになり、日本のモータリゼーション黎明期、二次大戦後の復興の足として大活躍。回転半径が小さいので細い路地や山道などで重宝がられた。
だが日本が多少豊かになってきた1960年代になると、三輪車は貧乏人の乗り物としてバタンコ(バタバタ走るやかましい車)などと揶揄されるように。マイカーは四輪で丸ハンドルがステータスとされ、1970年代に入ると三輪車は廃れ始め、次第に姿を消してしまった。
日本の三輪自動車の代表格といえばダイハツ・ミゼット(1957~72)。これは軽自動車枠。タイのバンコクで走っている三輪タクシーのトゥクトゥク(TUKTUK)の元祖でもある。


世界的にメジャーなのはイタリアのベスパカー、ピアジオ アペ(Piaggio Ape, 1948~)。50cc 2ストロークエンジンで日本ではミニカー登録。本国では 125~175cc、ディーゼルの 422cc のラインナップもあるらしい。

ちなみに2025年現在、三輪自動車の最大手はインドのバジャージ・オート(Bajaj Auto)。

日本に販売網がないのかほとんど入ってきていないが、東南アジアやアフリカなどでは三輪車の需要はまだまだ高い。荷台が6フィート以上(1,840mm)もあるトラックもラインナップされている。

ちなみにデカイと言えば世界最大級の三輪自動車、マツダ・T2000(1962~74)。水冷直列4気筒1985cc、全長6.08m、全幅1.84m、荷台長4.08mと、小型貨物車枠だがとにかくデカイ。戦前から三輪トラック・くろがね号を生産していた東急くろがね工業(前・日本内燃機 1932~)を倒産に追い込んだ(1962年経営破綻、スバル・サンバーも一因だとか)。

そういえば昔、同人誌でこの車が主役のマンガを描いたなぁ…
登録はバイク、必須免許は普通自動車(オートマ限定可)
APtrikes は日本の法律で認められた乗り物だが、法律をあちこちまたいでいるため複雑。

登録は道路運送車両法で定める側車付軽二輪というオートバイの枠組みに入るのだが、二輪免許では乗ることができない。道路交通法で定める普通自動車の枠組みに入るため、普通自動車第一種免許(AT限定)以上が必要となる。

ちなみに軽二輪とは125cc超250cc以下のバイクのこと。APtrikes125 は125cc なので本来は原付二種(50cc超125cc以下)の部類に入りそうなものだが、なぜかトライクの場合は50cc超250cc以下を側車付軽二輪と区分していてややこしい。250cc超えたら側車付オートバイ、50cc以下だと原動機付自転車(ミニカー)だそうな。ヤヤコシヤヤコシ、アーヤヤコシ(笠置シヅ子)。
自分でも何が何だかわからなくなってきたので表にまとめてみる。
二輪車の区分
| 排気量 | 50cc以下※ | 50cc超 90cc以下 | 90cc超 125cc以下 | 125cc超 250cc以下 | 250cc超 400cc以下 | 400cc超 |
| 車両区分 (道交法) | 原動機付 自転車 | 普通自動二輪車 | 大型自動二輪車 | |||
| 登録区分 (車両法) | 第一種 原動機付自転車 | 第二種 原動機付自転車 | 軽二輪車 | 小型二輪車 | ||
| 車検 | 不要 | 必要 | ||||
| 管轄 | 市区町村役場 | 運輸支局 | ||||
| ナンバー色 | 白 | 黄 | ピンク | 白 | 白に緑枠 | |
| 必要免許 | 原付 普通自動車 | 普通自動二輪 (小型限定) | 普通自動二輪 (旧 中型限定) | 大型自動二輪 (旧 限定解除) | ||
| 高速道路 | 不可 | 軽自動車料金 | ||||
| ヘルメット | 着用義務(罰則あり) | |||||
※2025年4月より「最高出力を4.0kw以下に抑制した排気量125cc以下の二輪車」も新基準原付として従来の50cc以下扱いとなり、原付または普通自動車免許での運転が可能に。
道路交通法(免許や交通区分)では大型二輪でも、道路運送車両法(車検登録)では小型二輪に入るというややこしさ。
三輪車(トライク)の区分
| 排気量 | 50cc以下 | 50cc超 250cc以下 | 250cc超 |
| トレッド幅※ | 500mm以上 | 460mm以上 | |
| 車両区分 (道交法) | 原動機付自転車 | 側車付軽二輪車 | 側車付オートバイ |
| 登録区分 (車両法) | 原動機付自転車 (ミニカー) | 側車付軽二輪車 | 側車付オートバイ |
| 車検 | 不要 | 必要 | |
| 管轄 | 市町村役場 | 運輸支局 | |
| ナンバー色 | 水色 | 白 | 白に緑枠 |
| 必要免許 | 普通自動車(二輪免許不可) | ||
| 高速道路 | 不可 | 軽自動車料金 | |
| ヘルメット | 着用義務なし | ||
※トレッド(左右車輪間の距離、タイヤの中心から測る)が460mm未満かつ、車輪が車体中心線に対して左右対称に配置され、車輪や車体が傾いて旋回する構造をもつもの(ヤマハ・トリシティ/ナイケン等)はトライクではなく「特定二輪車」に該当し二輪扱い。原付の場合は500mm未満(ダイハツ・ハロー、ホンダ・ストリーム、ジョイ、ジャスト、ロードフォックス、ジャイロ等)。



そしてトライクになると排気量の区分が二輪と違ってワケワカメ。またトライクは登録が原付であっても原付免許で乗れないというのが注意点。同じ乗り物なのに水色ナンバーのジャイロは普通自動車免許が要必須。これは管轄が違うと法律が変わる縦割り行政のせいだろう。

また側車付二輪車であっても、サイドカーのように側車側の車輪が駆動しないものはバイク扱い。そのため普通自動車免許では乗れず、排気量に応じた二輪免許が必要となる。だがサイドカーでもウラル・ギアアップみたいに後二輪駆動の(側車が外せない)サイドカーについてはトライクと同様、普通自動車免許で乗れる。ほら、こんがらがったっしょ。

という感じに脱線したが、APtrikes125 に話を戻すと、
AT普免で乗れて車検も車庫証明も要らないッ
ってことになる。ちなみに自賠責・任意保険は二輪車扱い(ファミリーバイク特約は不可)で入れたが、保険会社によっては拒否されるかもなので各自問い合わせるように。

あと免許がオートマ(AT)限定でも可というが、APtrikes125 はシフト(ギヤ)チェンジが必須。マニュアル車のような気もするが、道路交通法では「クラッチの操作装置を有しない自動車等」と定められており、自動遠心クラッチはクラッチ操作をしないのでオートマらしい。
APtrikes125 は次世代モビリティになるか?
日本政府が「次世代モビリティ」と銘打ち音頭を取って軽自動車より小さいクルマを広めようとしている。その徒花として特定小型原付なんていう電動キックボードが解禁されたが、結局マナーもルールも守れない輩ばかりで無法地帯に。これから自転車の交通違反も厳罰化されるから現場は大変だ(むしろ罰金取りやすくて喜んでいるK察官もいるかも)。

だいたい超小型モビリティではエアコンをつけられないないから、最近の日本の夏の酷暑や冬の寒波に堪えられないだろう。そんなエアコンもつけられないクルマでも価格は割高。だいたい政府が排ガス規制や安全装備の義務化などで締め付けまくって、メーカーは価格を上げざるを得ないし。ホント産業を国が主導するとロクなもんじゃない。
高齢者の免許返納後の足は既存の電動カート(通称:シニアカー。スズキ・セニアカー、ヤマハ・マイメイト、ホンダ・モンパル等)をさらに発展させたり、公共交通機関にも乗れるよう整備するのに注力した方が良い気がする。

まあ APtrikes は次世代モビリティどころか、先述した昭和30年代のモータリゼーション黎明期を彷彿とさせる旧世代モビリティ。新車で買える旧車みたいな趣味性が高いクルマ。今後数を増やすことなく消え去りそうな気がする。今しか乗れない可能性が高いので、気になるなら乗ってみればいいんじゃない? ただし乗っている時間よりいじっている時間の方が長いクルマと覚悟しといた方がいいが…

