長野2日目。でも半分以上が群馬だったり。軽井沢町は長野県北佐久郡だけど、北軽井沢って群馬県吾妻郡長野原町なのよね。
友人宅の庭先にSRXを止めたせいか毎朝のように訪れるキジが今朝は来ないとのこと。キジって変な鳴き方らしい。友人夫婦も最初は何の物音かと思って驚いたと言っていた。民話じゃ「ケーン」っていう擬声語で鳴くけどEVOで動画検索してみたら鋭い高い音で「キョンッ」って感じ。警戒心が強く、あまり飛ばずに走って逃げるそうな。奥さんの撮った写真を見せてもらったら前傾姿勢で目が逝ってる。ニワトリみたいな体型だなぁと思ったらニワトリもキジ科キジ目だった。ちなみにキジは日本の国鳥だが国鳥が狩猟対象となっているのは、日本だけらしい。便利だな、ウィキペディア。
などとトースト食みながらキジ雑談。このままキジの話をしていてもよかったのだが、夫婦の休日を邪魔してもアレなので午前中に発つことを告げる。このままダラダラしててもアレだなぁと言ったら奥さんの提案で鬼押し出しにあるバイク博物館に行こうということに。今日はそのまま帰路に就けるよう荷物を積んでSRXで並走して出発。
途中曲がりくねった峠道にさしかかりアドレナリンがフツフツと沸いてきた。ノロノロと走る先頭車に足止めを食らっている友人の車を追い越し、道も知らないのにカーブをガンガンに攻める。我に帰ったら友人の車が見えなくなっていたので停車して追いつくのを確認。20年前にも同じことしていたような。おそらく60過ぎても私はそんなことをやっている気がする。
バイク博物館の正式名称は「浅間記念館」といい、浅間火山博物館の左横を登ったところにあるバンガロー風の建物。以前行った小鹿野町のバイクミュージアム(2010年9月閉館)は2階建てでお腹いっぱいな程に希少車揃いだったので、それ以上は望めないなと大して期待せずに入館(入場料300円)。
予想通りこじんまりとした展示だったが車種はマニアック。特殊車両や戦後日本のモーターサイクル復興期(50~70年代)に生まれては消えた国内メーカーの珍車がズラリ。今では絶滅機種の2ストロークエンジンバイクが多いため、独特のオイル臭が鼻を突く。私はその昔、旧車のイラストやマニアックなものにハマってた時期があった。古本屋に通っては当時物の図鑑をかき集めたりしたものだが、その図版でしか見たことのないトーハツやブリジストン、ライラックなど初めて現物を間近で見ることができて少しコーフン。
この施設は日本初のメーカー参加型バイクレース「浅間火山レース」の足跡を残すため、ツーリングクラブなどの有志が集めたものを展示しているらしい。個人の持ち込み品が多いので博物館級の高級外車は少ないが、現存数の少ない国内メーカーの旧車が多いのでむしろ希少。見ごたえは十分ある。だがその真価はホンダCR110と聞いて「ミッキーマウス」と即答できる人じゃないとわからないかも。私はマニアではないが「ホンダが世界デビューを飾ったDOHC50ccの市販レーサーCR110は丸型のカムギアトレーンのヘッド形状からそう呼ばれ、並いる海外強豪メーカーを『時計のように精密』と驚嘆させた」ぐらいの知識はあるからさらにコーフン。そんなウンチクを語る私に友人は辟易気味のようではあったが。
現代の車・バイクはほとんどがブラックボックス化して素人のいじれる隙間がない。しかし当時のバイクは乗り手にメンテナンスを強要し、故障も自己責任だったわけで。だから構造が単純で何がどんな理由で取り付けられているかわかりやすい。また技術も過渡期だったので駆動方式やシリンダーの冷却フィン、補器類の形状に個性があり、各メーカーの技術者の設計思想が見て取れる。旧車ファンにとってはそこがたまらない。マニアでなくともホンダのバイクを時系列に見れば面白い。「赤カブ」という市販の自転車のタイヤに取り付けるガソリンエンジンを生産していた「原動機自転車」から始まり、CR110やCB72など次第に部品が洗練されて、世界に誇る技術に成長したのがわかるだろう。いや私はマニアじゃないけど。
しつこいようだが私はマニアではないので館内を4周半して満足。その後友人夫婦と鬼押出し園に入らずに周囲を散策。鬼押出しは遠足か何かで訪れた覚えがあるが、その頃現役だった展望施設が廃墟となっていた。解体費用が捻出できないのだろうが、観光地のすぐ横に放置してあるのも珍しい。
別れ前に地元スーパーに寄り友人夫婦と昼食。13時半には土産物を買って帰路に就いた。時間も早いことがあったし、太陽も出てきて下りは気分爽快。途中リッターバイクばかりの集団に出くわして、金持ってんなチクショーと少し煽り気味に後ろにピッタリくっついたり、一度止まってまた追いついたりを繰り返して横川へ。
横川の定番、峠の釜めし(900円)を買いにおぎのやへ寄ったらさっきのバイク集団が止まっていた。メットを脱いだらみんな私と同い年くらいのおっさんだった。最近の若者はバイクどころかクルマにも乗らないからね。乗ってたとしてもビッグスクーターとかスポーツ車じゃないし。家族用に釜めし3個と会社用の土産を買い荷物を満載して家路に。
途中道の駅おかべで休憩。前に来た時よりも生鮮食料品を扱う面積が多くなってごちゃこちゃしていた。前回のエントリーで書いた雷電くるみの里もそうだが、道の駅は観光客だけを目当てにするのではなく、地元の人が毎日地場産のものを売り買いする地産地消ビジネスが主になってきたのだろう。駐車場は満車状態で構内も盛況だ。大和芋が安かったので私も土産に購入。
数時間かけてようやく自宅に到着。総走行距離は280キロ。やはり単気筒は距離が長いと手がじんじんとしびれて疲れる。買ってきた釜めしを晩飯にしたが、長野名物八幡屋礒五郎の七味唐からしをかけたらウマー。辛いけど鼻に抜ける香りがいいんだよね。
そんなわけで思いつきで行ったツーリングは疲れたけれど、Hくんはあいかわらず変だし、食べ物もおいしかったし、おもしろかったです(小学生の夏休み絵日記かよ)。