ジャイロキャノピーのフロントにスノータイヤをようやく装着できたが、リアの方がなかなか進まない。前回ようやくリアホイールにタイヤを組み終えたので、

カッコイイ

次はハブの組付け。まずはスペーサー付属のステンレスボルトを入れて、

スペーサーを挿入して、軽く揺すりながらセンターが合うようボルトを仮締め。

ハブを固定するボルトの締め付けトルクは47N・m。だが付属のステンレスボルトの頭が薄い割に大きくて、ホイールの角に当たってソケットレンチがうまく噛まず、トルクがかけられない。

トルクをかける前に滑って外れてしまう

やはりこのボルトじゃダメだーッ!

何となくそんな予感はしていた

そもそも鉄とステンレス、アルミ、銅のように性質の異なる金属同士をネジ止めするのは、何か理由がない限りあまりしないもの。金属は熱を持つと膨張するが、種類によって膨張率が異なるため、固着して抜けなくなったり、最悪亀裂が入ってしまうことがある。そのためエンジンなどに使われているネジを安易に違うものと交換すると、エンジンがブッ壊れてしまうことも。純正以外のネジは使わない方が無難だ。

鉄製の部材の軸受け部分に摩耗耐久性のある砲金(黄銅)を挿入する、破断しやすいアルミ母材に銅製の雌ネジを挿入するなど。

また異なる金属同士を接触させた状態で水がかかると、電位の低い金属に電流が流れて腐食しやすくなる性質がある(ガルバニック腐食)。鉄とアルミならば電位の低いアルミがどんどん錆びてしまうし、ステンレスと鉄だと鉄が錆びやすくなってしまう。なので錆びないからとステンレスボルトを安易に使うと、母材の鉄フレームの方がボロボロになってしまうことも。

Wikipedia「異種金属接触腐食」より

そもそも社外品のパーツが全てちゃんとテストされているか怪しい。この際だから純正と同じ鉄製のボルトに交換しよう。純正品は強度区分 10.9 のフランジボルト。頭の径が小さいのでソケットも一回り小さく済んでホイールに干渉しない。

純正ボルトは頭に「10」の刻印があり、おそらく強度区分10.9

鉄製のネジについてはJIS規格で強度が3.6~12.9まで10段階に区分されている。10.9というのは上から2番目に強い高強度ボルトと呼ばれているもの。同じトルクで締めるなら合わせた方がいいだろうと、ネットで探して以下の楽天市場で売っていたものを見つけた。

付属のステンレスボルトは全ネジだったが、少しでも強度を上げようと半ネジ(半分以下だけネジを切ってあるもの)をチョイス。12本必要だが5本セット売りなので3セット15本購入。

しかし中国発送のせいか、全然届かない。追跡番号を入れても「情報が見つかりません」になってしまう。まあ AliExpress で慣れっこだけどね。商品説明にも「発送日から4-10日到着予定です」「発送から20日以降、国際追跡サイトで追跡しても更新が無い、手元に届かない場合はご連絡ください」とあるので気長に待った。

そもそも中国製品が信頼できるのかというのもあるが、他に選択肢がないので致し方ない。折れたら景品表示法違反だから楽天も巻き込んで訴えよう。

海外発送の定番、荷物追跡サイト 17TRACK

購入手続きから1週間以上経っても 17TRACK で追跡できないなぁと思ったら、ヤマトで追跡できた。というか荷物受付が南大阪EC小口オペレーション支店って、楽天の物流センターじゃん。

とりあえず一安心

で、ようやくネコポスでボルトが届いた。

見た目はしっかりしているし、ネジの精度も悪くない。なんかイケそうな予感。で、早速組んでみたら、うん、バッチリいい感じ。

片輪のハブの取付が終わり、もう片輪の取付をしようとネジを締め込んでみたところ、

やっちまったあぁぁぁッ!

規定の締め付けトルク47N・mをかける前に、にゅるんと変な感触。ハブのネジ山を2カ所ナメてしまったあぁぁッ。なんてこったい。というかハブ本体の雌ネジを破壊するぐらいだから、ボルトの強度は申し分ないようだ。中国製だからって疑ってごめん。

ヤフオクで中古で買ったハブなので、恐らく前のオーナーがオーバートルクで締め付けたのだろう。初めからナメ気味だったのだと思う。やっぱりトルク管理って大事。

で、どうするかって? 新品のハブなんてメーカーから出てこないし、また中古のハブを探しても同様なことになりかねない。

ネジ穴再生するしかないっしょ。

デデン♪ リコイルキットぉ~!

また工具が増えてしまったが、これはコイルもついたオールインワンセット。付属のドリルで一回り大きな穴を開けてタップでネジを切り、そこにコイルを挿入することでネジ穴が再生できるというもの。

取扱説明書より

購入したのは安物の中国製だが、国産だと商品名でヘリサートとか、E-サートなどと呼ばれている。ちなみにこのコイルはステンレス製らしく、元のネジ山よりも強度が高くなるそうな。強度区分 10.9 のボルトもどんと来いだ。

右上のやつがコイル本体

まずナメた8mmのネジ穴を10mmのドリルで拡げる。本当はボール盤などあればいいが、そんなものはないので目見当でなるべく垂直に。結構引っ掛かるのでドリルを逆回転して抜いたり、差したりを繰り返し。

一瞬悩んだが、どうもナメた穴以外もネジ山が怪しいので全部リコイルしてしまおう。

で、タップを立てようと思ったら、タップハンドルが無いことに気付いた…また Amazon で発注するついでに、タップを垂直に立てられるよう、タップガイドも購入。

つうかタップガイド高いなッ!

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もっと安いものもあったのだが、どうも精度や使い勝手を考えたらアメリカ製のこの単純な作りのヤツの方が良いと、私の直感が告げたので仕方なく購入。でも本国から取り寄せてきたのか、届くのに1週間ぐらいかかった。

で、届いたタップハンドルにリコイルキットのタップを挿入しようと思ったら、

ンンッ?

穴が小さくて入らないッッ!

ちくしょー、失敗したぁ…980円だったけれど無駄買いだったあぁ。素直にラチェット機能付きのじゃない、定番のヤツにすればよかった。

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また買い直すのも面倒なので、手持ちのモンキーレンチでやることにする。でもモンキーだと真っすぐにタップを立てる力を入れづらい。なので買ってよかったタップガイド。付属のドリルを逆さに挿して穴を決め、シャコ万力で固定。

タップガイドに沿ってタップを切れば大きく曲がることはない(と思う)。

切削油の代わりにエンジンオイルを垂らし、

えぐりこむように回すべし、回すべし。

結果的にはリコイル専用タップを立てるのにものすごい力が必要だったので、柄の長いモンキーで正解だった。上の写真のような持ち方では途中入って行かなかったぐらい硬い。おそらく元の金属自体が硬い鋼材なのだろう。そりゃ(130kgの車体+人間+荷物)×加速度をストッピングするブレーキを支える所だから、硬いのは当たり前。

切粉が出るので、クリーナーで吹き飛ばして清掃。

キレイにしたらコイルを挿入。

コイルの奥にツメがあるので、キット付属のハンドルで回し入れる。

くるくる

表面にコイルが出ているとスペーサーが密着しなくなるので、ギリギリまで挿入したらコイルの長さ(約10mm)が奇跡的にジャストフィット。元の状態だと溶接されたナットの分しかネジが切られていなかったので、3mmぐらいネジ山が追加されて、さらに強度が増してしまった。

なおコイルは逆回ししても戻らないので注意。挿入したら奥にコイルを回すためのツメがあるので、

付属の棒でスコンと落とす。最初モンキーで叩いたら意外と手ごたえがなく、手の平で勢いよく叩いても落ちた。

キレイなネジ山が再生された。

(`・ω・´)シャキーン

中でコイルが上下に開くらしく、そのスプリングの張力で抜けることがないようだ。試しにボルトを回し入れてみたが、貫通穴でも全然動かない。ステンレス+鉄なのでガルバニック腐食で母材が錆びて、むしろ固着してさらにしっかり止まるかもしれない。

これをあと5回繰り返して、すべてのネジ穴の再生完了。気温10℃で汗ばむぐらい、なかなかの手間だった。

懸念していた曲がりはほとんどなく、ソケットの手回しでボルトが全部奥まで入った。大成功!

でも今回たまたま上手くいっただけかも。失敗するリスクや工具などの購入代金と手間を考えたら、金属加工業者に任せた方が安く付いたかもしれない…

ともあれ、あとは基本通り対角線に締め込むだけ。いきなり1か所を締め込まず、少しずつ均等に。

ある程度締まったらトルクレンチを47N・mにセットして、

階段の段差を利用して本締め。このやり方だとタイヤが滑らず、まっすぐに回せて力が入りやすかった。今度はヌメッとすることもなく、トルクレンチがカチッと鳴ってしっかり締まった感。

これでようやく車体への取り付けの準備ができた。ここまで長かったー。

というかスノータイヤ入れたいだけなのに、どれだけ手間かかってんだか…まだまだ雪道デビューの道のりは遠い…

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