ストレスを溜め込むと体に良くないので、人間に限らず動物は何かでそれを発散させることがほとんど。でも人間は犬猫のように噛んだり引っ掻いたりできないので、なかなか上手にガス抜きをするのは難しい。部下や子供やサポセンなどに当り散らすなど他に迷惑をかけるのはサイテーだし、酒を呑み過ぎたりケーキバイキングに走ったりして逆にそれがストレスになる人もいるようだから。中には健康的にアミューズメントやスポーツで発散させている人もいるみたいだけれど、私にはそういうスマートなマネが到底できない。
じゃあ私はストレスが溜まってくると何をするのだろう、と過去を振り返ってみたらあんなことやこんなことをしていた。そう、またまた、またやってしもうた。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
なんか大きさが違うと思ったあなたは正しい。先日、ついうっかりポシェット・ヴァイオリンをヤフオクで買ってしまった。
ポシェット・ヴァイオリン(Pochette Violin)というのは別名 Pocket Fiddle とか Kit Fiddle、Travel Violin、Tanzmeistergeige などと呼ばれる要は携帯用ヴァイオリンのこと。Dancing Master’s Kit という別名もあるように、バロック時代にダンス教師が伴奏用にマントのポケットに入れて持ち歩いたものらしい。
もちろんこれは中世の当時モノじゃなく中国製の新作。出品者によるとChow工房というところで作られたものとのこと(出品者の楽天サイト)。値段は38,000円也。ヴァイオリンとしては安いがオモチャとしては高すぎる。そんなものを私が買わずに誰が買う?
連休をまたいでしまったので金を振り込んでから届くのに時間がかかってストレスが溜まりそうになったが、先日ようやくゆうパックで届いた。こんなことやあんなことがあったのでゆうパックは信用できなかったのだけれど、今回は割とすんなり届いた。ようやく日通との配送システムの統合が落着いたのかしらん。私は中高生の頃に友人から「お前は切手コレクターじゃなく郵便局マニアだ」と言われたぐらい郵便局大好きっ子だったので、民営化以降に郵政幹部連中が配送システムをメチャクチャに壊したのを腹立たしく思っている。ようやく収束しつつあるように見えるが、実際は机上の計算書しか見ないバカ経営者の下で働く配送員たちは相当の無理を強いられているようだ。
と、天下り連中への怒りで話が脱線した。届いてさっそく大きな梱包を開けると中から緩衝材と小さめのケースが。1/2とあるから子供用の分数ヴァイオリンのケースのようだ。中を開けて梱包材を抜いたらスカスカ。うっわ、サイズは確かめていたけど予想以上(以下?)に小っちゃ。ボディなんか私の手のひらサイズ。母のタバコ借りて思わずパシャリ。
オモチャっぽいけどちゃんといい材料を使っているようで、虎杢(虎縞の木目)がカッチョイイ。厳密に測っていないけれど指板は通常サイズに近い。テールピースはやけに小さい。よく見ると左右対称取れていないのはご愛嬌。弓を置くところが3センチ幅と通常の半分ぐらいしかないので、ほとんどスルタストで弾くようになりそう。1/10(身長110センチ以下の幼児用)とか1/8(身長117センチ以下の子供用)みたいな狭さなのに、駒や指板は通常より少し小さいだけなのですごい違和感。
では肝心の弾き心地。うっわ、小っちゃ、姿勢辛っ、音鳴らねっ、調弦合わせ難ぅっ。1回弦を外して切り詰め、ペグソープ塗って張り直したり、テールガット、アジャスタ、駒の角度と位置を調整しながらベストのポジションを探ってきたらどんどん音が鳴り出してきた。構えるのに慣れた頃には楽器が目覚めてきたのか音も良くなってきた。さすがにこの小さなボディでは低音がショボいが、高音は結構澄んだいい音色。弾いた後の残響が伸びる。いい楽器なんじゃないかと勘違いしそうになってきた。
2時間ほどいじったあとに通常サイズのヴァイオリンに持ち替えてみた。うわ、ヴィオラ弾いてるみたい。当然だが普通の方が断然弾きやすい。でも小さい楽器に慣らされたせいで第3、第5ポジションの構えがラクになったかも。とはいえ上達の助けにはならんな。
うーむ勢いに任せてこんなもん買ってしまったが何に使うのか。コートの下に隠し、通学路に徘徊して女子中高生の前で「ほーら」とか見せびらかすぐらいしか用途が思いつかない・・・