6弦ビオラの弦を直輸入

4年前に購入した6弦ビオラだが、弾きにくいのでほとんど弾いていない。だが、そろそろ弦がいつ切れてもおかしくないので、交換用の弦を購入することに。

6弦ヴィオラとLow F弦

米ダダリオ社 (D’Addario) のスチール弦「ヘリコア」にはA、D、G、Cだけでなく、5弦ビオラ用のE弦や5弦バイオリン用のCまでラインナップがあり、日本国内でも入手しやすい。しかしCの5度下、6弦用の Low-F 弦まではラインナップされていない。

左がビオラ用E弦、右がバイオリン用C弦。左の方が新しいパッケージ

低音弦は子供用の分数チェロ弦で代用するという荒業もあるらしいが、チョイスをミスると弦のテンションに問題が出そう。私が調べた限りでは、米スーパーセンシティブ社 (Super Sensitive Musical String Co.) のセンシコア (Sensicore) Model 4357 という弦しか選択肢がないようだ。

このF弦はビオラの最低音ド(C3、88鍵ピアノの真ん中「ミドルC」のオクターブ下)より、さらに5度下のファ(F2)になる。チェロの音域にまで足を突っ込んでいるぐらい低い。なのでこの6弦ビオラは5オクターブ近くの音域をカバーするトンデモない楽器になるのだが、トンデモなく弾きにくいのでオールマイティには使えない。

それぞれの楽器の開放弦の音と最高音の図。ただし最高音は技量による(私は弾けない)

もしかするとバロック楽器のビオラ・ダ・モーレやガンバ用の弦を張れば良いのかも知れないが、ダモーレ/ガンバは4度調弦。ダモーレは一度触った事があるが、移弦すると頭がこんがらがって音階すらマトモに弾けなかった。やはりバイオリンやビオラと持ち替えて違和感のない、5度音程のF弦がベターだろう。

スーパーセンシティブ社の弦に話を戻そう。センシコアを日本国内で取り扱っているのはヤマハだけだったが、需要がないせいか、いつの間にか取り扱いを止めていた(→スーパーセンシティブ社製品 取り扱い終了のご案内)。国内での入手はほぼ絶望的になった。

とはいえヤマハが取り扱っていた頃でもこんな弦は売っていなかったので、結局アメリカから直輸入した。しかし以前購入したミネアポリスの店では、この弦の取り扱いを止めてしまったようなので、今回は別の店を探すことに。

だが検索してもなかなか売っている所が見つからない。YouTube でこの弦の紹介動画を流している店もあったが、長期在庫切れを起こしていた。YouTube にも「欲しいけど見つからない!」という弦難民のコメントがあるぐらい。

さあいよいよ入手困難になってきた。しかしワタクシの検索力 530,000 をもってすればこの通り。

デデン♪

アメリカのノースカロライナ州にある店で在庫を確認、ネット通販で直輸入した。もちろん初めて利用する店だが、クレカで払えばいざ届かなくても信販会社で支払いを止められる。英語を斜め読みして迷わずポチリ。

しかし自動返信メールを見たら送料・手数料が112ドルとか商品代と変わらないぐらいふざけた価格になっていた。「高すぎるから料金間違っていないか? この送料ならキャンセルだ」とメールしたら、通販担当のスージーから「うん、システムのエラーだった。送料は72ドルに直したよ」(ざっくり省略&意訳)と返事が来た。それでも高いが FedEx 一択だから仕方ない。関税とかもあるだろうし渋々納得。

海外通販は中学英語と言いたいことはハッキリ言う度胸、Google 翻訳があれば何とかなる。ノーと言えるニッポン。というか「システムのエラー」と主張して「I’m sorry」とか一言も書かない所はぜひ見習いたい。

そのあと今度は店長のクリスからメールが。「ビオラ弦とバイオリン弦、違う楽器ものが混じっているけど大丈夫?」と確認が来たので「6弦ビオラといくつかバイオリン持ってるからノープロブレム」と返したらすぐ発送された。というかこういう気遣いのできる店、なかなか良いんでないかい?(広川太一郎)

発送されてから追跡を見ると、アンカレッジを経由しながら6日ほどかかって到着。袋を開けると手書きの手紙と店のオリジナルステッカーが同封されていた。なんかこういうの良いよね。

F弦だけ買うのもアレなので、センシコアのバイオリン用オクターブセットも一緒に購入。この「OCTAVE」は通常より1オクターブ低い音を鳴らせる弦で、実は以前からあの鈴木でも木曽鈴木でもない、鈴木バイオリン(RAUMという名の鈴木)にすでに張っていたりする(ていうかD弦がこないだ切れた)。

余ったバイオリンがあったら、ビオラよりも音の低い、チェロみたいに鳴らせるバイオリンが作れるのでお試しあれ。とはいえこの弦も国内で入手困難だし、弦が太すぎるので駒とナットを削る加工が必要だけれど。

オクターブは太すぎてE線のアジャスターがつけられない

そんなこんなで目当ての弦をようやくゲット。今回は店の親身な対応にちょっと感動したので、お礼のメールと「できれば郵便も対応してよ」的なメールをしてみた。するとスージーから即レスが来て「USPS(アメリカ合衆国郵便公社)は追跡や補償がないし、クレームも多いからオススメしないよ。それでもいいなら言ってくれれば対応するからまた来てね」的なメールが届いた。ちゃんと顧客ファーストで柔軟な対応。うん、この店ひいきにするわ。

もちろんこの店は弦だけじゃなく、イカした (cool) &イカレている (crazy) エレキバイオリンの販売がメインで、価格もリーズナブル。スタッフ紹介&写真もあるので安心感があるし(クリスが結構いかついw)、見るだけでもおススメ。

Electric Violin Shop
https://www.electricviolinshop.com/

しかしこのホームページを見ていると、また物欲が刺激されるうぅぅ…

なお肝心のセンシコアの使用感について。素材はスーパーセンシティブ社が Perlon Core と呼んでいるナイロン弦(ペルロンとは – コトバンク)らしいのだが、柔らかく手触りがいい。低音弦しか使っていないので音色は他と比較できないが、クセがなく素直にブオンと響く。米ダダリオ社のヘリコアと使用感が近い感じ。

スーパーセンシティブ社には他にも気になる弦があるので今度買ってみよう。

Old Fiddler Line
パッケージからしてすんげえ気になっている弦。ちなみにフィドラーとはバイオリン弾きのこと

よく見たらセンシコアの Octave の方は Amazon でも売っていた

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