ヴァイオリンの奏法で何といってもドラマチックなのはビブラート。音を震わせて情熱の雄たけびを上げる、いわゆる演歌のコブシみたいなもん。弦を押さえている指で小刻みに音程を上げ下げするのが「原理」だが、実際は指だけを痙攣させるのじゃなく腕を総合的に使わないといけないので難しい。しっかり習得するには2年かかるとか。レッスンでは音程がキチンと取れるようにするためビブラートは禁止。でも私は今すぐやりたい。グワングワンとヴァイオリンを鳴かせたい。
以前からネットで検索して訓練法を調べ、先生には内緒で自主練をしている。職場は待機時間が長いのでこういう地味な訓練に最適だが、楽器を鳴らす訳にはいかない。なのでヒマなときは適当な木の棒(画像奥の角材)にあご当てを取り付けてビブラートの練習をしていた。棒と言っても角材なのでヴァイオリンのネックより太いし角があるしで全然違うのだが、それでも肘から手首、指先の訓練になった。
今日はクソ暑い上に肩凝りがひどくて練習する気が起きなかったが、何もしないのもシャクなのでその棒を作り直してみることに。まず適当な材料を探す。親父が大工だったので、角材があちこちに転がっているから、ちょっと探したら細めのヒノキ材が見つかった。電ノコでブッタ切って長さを合わせ、ノギスでヴァイオリンから実寸を測りながらカンナとカッターで地道に削る。鎖骨の当たる部分を角材を足してL字にし、釘を打ったり他の板を貼り合せたりして厚みを大体合わせる。寸法を正確に測って作るのは面倒なので現物合わせで適当に。
構えたときに違和感がないわけではないが、まあ大体いい感じにできた。指板やネックに相当する、手の当たるところは紙やすりで仕上げたので、白木の手触りが非常によろしいと自画自賛。弦がない分違和感はあるが、弦を張るのならソリッドボディのエレキヴァイオリンを作った方が早いので妥協する。
で、普段は持ち物に名前とかつけないのだが、今回はいいネーミングが思いついた。
「ビブラ棒」
ビブラート練習用の棒だからビブラ棒。いつか人前で超絶技巧披露して「ブラボー」と絶賛されるようにと願いつつ。いや、そんなもの作ってるより練習してた方が上達すると自分でも思うけど。
あとこないだ部屋の整頓していたらヴァイオリンの技術書がいっぱい出てきた。これも買っただけで満足しちゃってちゃんと読んでないなぁ…