《前回までのあらすじ》
ヴァイオリンのフォーム矯正を始めて全く以前のように弾けなくなってしまったmezzo。ミリ単位の調整に悪戦苦闘する毎日。そこへさらに追い討ちをかけるような食事の節制に、ついにmezzoは暴飲暴食に走るのであった…
などと昼メロドラマのように書き始めてみたが、要は最近ちっともヴァイオリンが楽しくなかった。年食って腕や指の柔軟性がなくなったため、正しいフォームで弾こうとしてもその腱や関節が悲鳴を上げてくる。私は人間の筋肉がどのようにつながって作用しているかは絵描きの端くれなので知識として知っている。なのでどの部分の柔軟性が足りないかはわかっているのだが、そこを毎日ストレッチしても人生の折り返し地点に到達した肉体はそうそう変わるわけではない。思うように弾けない状態が何週間も続いているのでイライラが募る。
一昨日レッスンに行く前に少し練習をしていたのだが、相変わらず手の甲や二の腕の裏が痛んだり隣の弦に指が触れてイライラ。こりゃ今回のレッスンはボロボロだな、と思っていたら意外にうまく弾けた。もちろん満足できる音ではないが、第1指や4指の動きが以前よりはスムースに動くようになった。イライラしながらも投げ出さないでいたら何とかなってきたらしい。先生におだてすかされて実力以上が出ている気もするが、やっと長いトンネルの出口が見えてきた気分。
で、フォーム矯正と同時に出てきた問題は爪。指板に指を立てて押さえるフォームになったのだが、爪が触れてはいけないギリギリの角度で当てないといけない。だから爪が2ミリ以上伸びると影響が出始めるので、爪をこまめに切る必要が出てきた。常に先の白いところがない状態に維持するため、最近は左手の爪を2、3日ごとに切っている。基本的にナルシストなmezzoではあるが、爪をこまめに切っている自分を客観的に見ると何か気持ち悪い。
ヴァイオリンは突き詰めていくとコンマ何ミリ単位の精度で体を正確にコントロールする技術が必要になる。少しでも体の自由を手に入れるため、とうとう9.5キロの減量までしてしまった。今、mezzoの生活はヴァイオリンを中心に回っている。なんちゅう世界にワシは足を踏み入れてしもうたんじゃ…