チェロは普段ケースにしまわず布団の上に立て、寝るときはイスの上に置いている。手を伸ばすとすぐ弾けるところにあるのはいいのだが、すぐホコリだらけになるのが難点。

ヴァイオリンの発表会が終わってからチェロに触れる時間は長くなった。だが未だ試行錯誤中で構え方がしっくりこない。ヴァイオリンと違いチェロは重力を味方につけられないため、ボウイング(運弓)や左手の運指がなかなかピタリと決まらない。最近になってようやくピチカートなら音階を奏でられるようになったが、弓を使うと途端にガタガタ。弦を押さえずに開放弦だけでボウイングすればまだマシだが、弓の端から端までキレイな音で響かせるにはまだまだ練習が足りない。

「重力を味方につけられない」と書いたが、厳密に言うと間違い。ヨットが向かい風でも前に進むように、ベクトルを制御してやれば弦を押さえたり押し付ける力として重力を味方につけられるはず。そのためには無駄な力を省いて腕の重みを弦に乗せる必要がある。極端な話、楽器を力強く響かせるには力を抜かなければならない。これはヴィオラでも痛感している。

しかしチェロはヴィオラよりはるかに張力が強く、どうしても弦を力づくで抑え込まないと音が裏返る。だがそれでは弦の振動が妨げられ、音が潰れてチェロ本来の音が鳴らない。楽器や腕の角度、重心の置き方でまるで音が変わってくるので教則本を見ながら試行錯誤。おかげで普段使われていないところが筋肉痛になっている。

演奏の上達に大事なのはイメージ。絵を描くときに例えると、完成図が頭の中にできていないとまるで筆が進まない。同様に楽器も頭の中で理想の音が鳴らないとダメだと思う。私はチェロの音を聞き慣れていないので「いい音」のイメージがつかめなかった。最近になってようやく「正しい音」というのがわかってきたが、それでもやはり「いい音」とは違う。まずは耳を慣らして「いい音」を聞き分けられないとダメだろう。

私の中では一応ヴァイオリンがメイン。ヴィオラやチェロは言い方は悪いが片手間にやっているので効率よく上達したい。そのため理屈ばかりが先行してしまうが、身体を正しく制御できるようになるには「いい音」を探りながら退屈な訓練を繰り返すしかない。結局は楽器に長く触れた人が上達するということ。試行錯誤で遠回りはしたくないが上達に近道はないようだ。

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