人に何度か訊かれたことがある。
「どうやったらこんな風に細かく描けるんですか?」
返答に困るので、いつも適当に答えをはぐらかしていた。
今日はあえて正直に言ってみる。
レンガを実際に積むことを考えれば、それを絵で描く方が何倍もた易い。今まで何年と耐えてきた痛みに比べれば、1mmずつ筆を動かして1mの絵を描くことなど屁でもない。この程度のことに耐えられないと言うのなら、とっくに私は生きることに耐えられなかった。心血を注ぎ、身体をいじめ抜いた挙句、報われないどころか裏切られた事も多々あったが、目の前の絵だけは忍耐強く手を動かせば必ず報われる。
たかが絵だが。