カメラのレンズのせいなのか、感光体の特性なのか、空をカメラで撮ると不思議な青になる。目で見たときよりもずっと彩度の低い、むしろダークグレーに近いブルー。絵で描くときにはまず使わない色だ。
空はカメラの技術用語で言う無限遠(∞)の景色。遠すぎて宇宙から降り注ぐ可視光線は波長の長い青色成分しか残らないはずだが、実際は大気中の光の乱反射で複雑な色が混じり合い鮮やかな青にはならない。
反射光をカットする偏光フィルターなどを使えばプロの写真家が撮ったような鮮やかな青空になるが、それでも実物の色とは異なる奥行感のない青になる。二次元の平面上に焼き付けられた映像は現物とは別物。写真に撮ったり絵に描いたりするには色調整など若干の脚色をしてやらないとリアルに見えない。
また色に限らず構図や広角レンズの効果などの誇張表現も時には必要。二次元に置き換えた時点で写真だろうと結局は嘘になる。そこに多少の嘘を塗り重ねたところで誰も文句は言わない。
・・・などと割り切れるようになったのはつい最近の話。