ジャイロにタコメーターを取り付けてから分かったが、妙に回転数が高い時がある。気温が低かった頃はエンジンのかかりが悪かったし、始動直後にスロットルをひねるとエンジンが落ちてしまう。どうやらオートチョークがまともに動いていないらしい。
フュエルインジェクション(FI)が主流の今ではチョークなんて聞いたこともない人が多いだろう。昔の電子制御のないエンジンは寒い日にエンジンがかかりにくかったので、チョークレバーを引っ張って暖気するのが冬の朝の儀式だった。
だが2ストジャイロにチョークレバーはない。どうやらスクーターにはエンジン始動時に自動で動作するオートチョークというものが付けられているらしい。自動というが動作はアナログチックで、電熱で膨張させて弁の開閉をしているとのこと。スクーターを所有したのは初めてなので、そんなん初めて知った。
だが「オートチョーク」とネットで検索するとすこぶる評判が悪い。2ストスクーターの不調の原因はたいていこの部品らしく、何かの拍子でよく壊れるらしい。なので機械に強い人はオートチョークを取っ払って手動化してしまうようだ。
あちこちネットを検索していたらチョークを手動化できる社外品が販売されていた。最安値で630円(メルカリ・送料込)。普通郵便の封筒で届いたのがこれ。
シンプルな構造で説明書もなし。
レバーには「CHOKE」の文字。
「choke [tʃóuk]」とは「首を絞めて窒息させる」という意味で、プロレス技のチョークスリーパーと同様、キャブレターの吸入口を狭めて空気の量を抑えてガソリンを濃くするから。ちなみに黒板で使うチョークは「chalk [tʃɔk]」。
ただしジャイロの場合は吸入口がふさがれるのではなく、キャブのニードルジェットがもう一つ開くような感じでインテークにガソリンが追加される仕様。DIO とかリードなどホンダの2ストスクーターも同様の構造らしい。
脱着にはリアフェンダーを外さないとならない。ネットで調べたら「4個ネジを外せばフェンダーが外せる」とのことだったが、鉄製のエンジンカバーを先に外さないと後ろのネジが外せない仕様。
サービスマニュアルがないから試行錯誤。
さて、ようやくオートチョークとご対面。でも横からだと外すためのネジとか見えない。狭くて頭も突っ込めない。
車体を斜めにしてロックをかければやりやすいことに気づいた。でもロックギアに負荷がかかるし、なんか危なっかしいので自己責任で。
まずはオートチョークのカバーを外そうとしたが、硬くて外れにくい。
どうせ取っ払うんだから壊してもいいやって感じでエイヤッて力ずくでカバーを外した。ほぼ手探りでプラスネジ2個緩めてようやく本体も。結局カバーは初めから割れていたようだ。
下の写真はスマホ突っ込んで写したもの。頭が入らないので、このように真上から見るのは難しい。
手動チョークと並べてみると手動の方にはニードル(針)がない。大丈夫なんか? と不安になる。
付属のOパッキン(小さい輪ゴム)はこの溝にハメるのかな? わからん。
とりあえず金具類は元々ついていたものをそのまま流用。
オートチョークを外したカプラはそのままだとショートしそうなので、手動チョークレバーが入っていた袋をかぶせてビニールテープで防水。
こんな感じでまとめておいた。チョー適当。
これでチョークが動作していない状態。
レバーを起こしてチョークを動作させた状態。エンジンをかけるとブワーッとアイドリングが上がる。どうやら取り付けは問題ないようだ。
なおレバーは途中で止まらず、ON(全開)かOFF(閉)しかできないため、チョーク半開きとかはできない。手で押さえて半開きにしようとしても、ジェットニードルがないから意味ないだろう。
で、オートチョークをキャンセルした結果だが、いかにも2ストって感じにエンジン音が甲高く、うるさくなった。スロットルをひねると「ビーン」と一気に6000回転近くまで回り、戻すと逆に静か。異様にレスポンスが良くなってしまった。というか今までずっとチョークがかかった状態だったらしいので、これで正常のようだ(実は正常ではなかった)。
だからといって加速が良くなったかというと、体感的にそんなでもなかったり。うーん、原付バイクって難しい…
あと問題は冬になったらどうやってこのチョークレバーを引くかということ。リアフェンダーを外さないと手の届かないところにあるので、いっそよく見かける改造ジャイロみたいに全部取っ払ってむき出しにした方がメンテもし易そう。でもタイヤむき出しとか太タイヤって個人的に好きじゃないんだよなぁ。
冬のことは寒くなったら考えよう。というか今年の冬まで壊れずに動いているかなぁ、このジャイロキャノピー…