以前肩当てからグッバイしたわけだが、どうも調子のいいときと悪いときがある。自宅で練習するときはいいのだが、教室で弾くとヴァイオリンが肩からズレ落ちてくる。ズレると自然に左手で支えようとネックを握ってしまうので音程が狂う。なぜだろうと思ったら、自宅の練習では主に装飾ヴァイオリン、レッスンにはオウム号(1977年中国Parrot製)を使うから。そう、ヴァイオリンの違いが原因で、後者のあご当てが体に合っていないっぽいのだ。

 オウム号はヴァイオリン工房でも先生にも「音がいい」と誉められた名器。音量はないが低音から高音までバランスよく鳴る。30年以上前のものなので木がよく乾燥しているというのもあるが、ヴァイオリンは古ければいいというわけでなく、材質やその他様々な要因で音が変わる。オウム号は元々高級なものではないのだが、年数を経てよい方向に化けた当たりの楽器なのだ。だから人前で弾く時にはこっちを使い、装飾ヴァイオリンは練習用にして音が鳴るようにエイジングするという使い方をしていた。

 装飾ヴァイオリンの方はあご当てがテールピースをまたぐブリッジタイプのもので、その分中心の方に張り出しがあってあごが引っかかりやすい。しかしオウム号は片側固定型の小さなもの。どうやら私のあごがそこからはみ出し、テールピースに触れて音に悪影響を与えている気もする。なのでヤフオクで早速検索。ボックスウッド材のシャーク型が3500円で即決だったので落札。本日、郵送にて届いた。シャーク型って検索しても出てこなかったけど、人間工学がどうたらの設計らしい。

 古いあご当ての台座のコルクが本体に固着して剥がすのに手間取ったり、新しい方も角度や位置が決まらずに30分ぐらい悪戦苦闘したが何とか装着。ネジを緩めて交換して締めるだけと思ったら大間違いなので、自信の無い人は工房に任せた方が無難かも。

 交換後は慣れないせいもあってそんな劇的に使い心地が変わったわけではない。過度な期待の割には効果が小さいと思ったが、しばらく弾いてあごがなじんできたら左手の自由度が上がって音程が取りやすくなり、ビブラートがかけやすくなった。台座のコルクがしっかり密着したのか高音もよく響くようになった気がする。やはりほんのちょっとのことでも音色が変わるのが、このヴァイオリンという楽器の面白さと難しさなのだと思う。

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