産直アズママガジン

前にも書いたが私は吾妻ひでおの大ファンである。時として難解に、下品になりそうなネタを軽妙に操り、コロコロとしたキャラで癒されつつも実は中に毒が仕込んであったりする。だがその毒がまた中毒性があり…などと話し始めると2時間ぐらい費やしてしまうぐらい私は先生が好きだ。むしろ人生の師と仰いでいるぐらいとは言い過ぎだが、漫画家に「先生」をつけて話したくなるのは吾妻ひでおだけだったりするのでその信者ぶりをわかっていただけると思う。

で、月イチの愉しみ、吾妻ひでお公式HPで月替わりで公開されていた先生の絵日記が最近になって「しんどいのでしばらく休みます」と書かれてガガーンと思っていたのだが、なんと自費出版の新作が発売されていた。以前から自費出版をしていたようなのだが、私が先生のサイトを見つけたときにはすでに完売となっていた。サイトの発見が遅れて枕をかじりながら涙したアヅマニアとしてはこれは買わねばなるまい。サイトの通販方法に従ってメールを送信し、返信されてきた内容に従い、郵便局で小為替2,000円(2冊)分同封して郵送。数日して今日ポストに届いていた。

内容はサイトに公開していた2008年3~5月分の絵日記なので読んだ覚えのあるものばかりなのだが、やはり紙に刷られたものはいい。鉛筆描きのものをスキャンしたようだが微妙な階調がキレイに再現されているし、B5版なので高精細に先生の絵が鑑賞できるのがいい。表紙はアナログな水彩で、奥付すら一切写植(フォント)を入れていないという昔風の同人誌の体裁。手書き文字なのに「アママガジン」「アママガジン」と表記ゆれしてたりするのもご愛嬌。

角川書店刊「うつうつひでお日記」も持っているが、そちらはちゃんとペン入れしてトーンまで貼って写植まで入れてある分、どうしてもよそよそしいというか体裁が整いすぎてしまって魅力が薄れてしまっている。間に編集が挟まるとやはり毒が薄まるせいもあるのだろう(こちらはこちらで見やすいしインタビューとかもあるのでお得だが)。まあ内容だって朝起きてタバコでむせてテレビ見てうどんすすって本読んでアイス食ってJK(女子校生)ウォッチングして眠剤飲んで寝る、と人から見ると本当にどうでもいいことばかりだし。

しかしこれがファンにはたまらんというか、軽妙洒脱という言葉はまさに先生のためにあるのではと思うぐらい。「失踪日記」以来、鬱々とした内容を笑いに昇華させる手腕がさらに上がっている気がする。私は読んでて共感できるところが非常に多いのだが、もし先生に会って「共感しました」なんて言ったら「あれ、ウソだよ」とか言われそうで怖い。実は自虐ネタに見せつつウソをごちゃまぜにしてさらに可愛い女の子を好き勝手に描いて読者をケムに巻いているので、自分のことを書きながら実は「吾妻ひでお」というキャラを演じていたりする。かといってウソのような話が本当だったりもするので油断ならない。ウソ・大げさ・まぎらわしい表現も非常に多く、まず一般ウケはしないというかJAR●ってなんじゃろって感じ。

全盛期の吾妻ひでおを知っている人が見ると画風が少し変わって女の子もちょっと太めになってるけれど、やはり流麗な線と可愛いペンタッチは健在。ちょっとでも面白そうだと思う人は一家に1冊、いや観賞用と保存用に2冊、いや交換用にも3冊買いましょう。私もなぜか2冊買っちゃったけど(3冊じゃないんかいっ)。

で、届いたときに郵送の際に同封した私の手書きの宛名カードの脇に「様」が追加で書かれていたのだが、アヅマニアが見慣れたこのヘナヘナな文字。こ、これってもしや本人の字…? 角川刊の方でも日記に為替の引換や宛名書きをやっている描写があったけれど…くわえタバコでペタペタ封筒詰めしている先生の姿が想像できて泣ける。

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